Kondo,T., Takeuchi,K., Doi,Y., Yonemura,S., Nagata,S., Tsukita,Sh., and Tsukita,Sa.
J.Cell Biol., 139, 749-758 (1997)
【筆頭著者紹介】
近藤隆久さんは、名古屋大学医学部の内科の大学院に入り、当時岡崎国立共同研究機構生理学研究所にいた我々のグループに加わった。 ピペットマンも握ったことのない医者であった近藤さんは、じっくりと実力をつけ、ERMとアポトーシスの関係という、全く新しい分野をきり開いた。 2児の父となり公私ともに充実している。
いろいろなアポトーシスの系で共通して見られるきわめて初期の形態変化は、微絨毛の消失である。また、いろいろな細胞の微絨毛に共通して見られる蛋白質はERM蛋白質である。
ERMは、アポトーシスにおいて重要な役割を果たしているのだろうか?
いろいろなアポトーシスのきわめて初期にERMが脱燐酸化され、細胞膜から細胞質へ移行することが分かった。 また、この脱燐酸化は、カスパーゼカスケードの活性化の下流にあることが明らかになった。 また、ERMの細胞質への移行に伴って、アクチンフィラメントと細胞膜の広範な解離が起きることも分かった。