Kubota,K., Furuse,M., Sasaki,H., Sonoda,N., Fujita,K., Nagafuchi,A., and Tsukita,Sh.
Curr.Biol. 9,1035-1038 (1999)
【筆頭著者紹介】
久保田さんは、京大の農学部から我々の研究室に博士課程の第一期生として参加しました。 分野が変わったこともあって、最初はとまどいも大きかったようですが、最終的には、クローディンの接着活性を詳細に解析し、この論文をまとめました。 女性陣から人気の高いダンディーな久保田くんは、これから和光の理研に移って、神経生物学の分野にチャレンジします。
クローディン遺伝子群が我々の研究室で発見され、これらの膜蛋白質がタイトジャンクションのストランドを形成することが証明されたが、実際に接着分子として機能するかどうかは不明のままであった。
そこで、マウスL細胞にクローディンー1,ー2,ー3をそれぞれ単独に発現させ、細胞集合実験を行った。 左図のように、どの細胞も強く凝集し、その凝集にはカルシウムイオンは必要ではなかった。 下段はそれを定量的に示したものである。 このような実験から、クローディンがタイトジャンクションで機能している接着分子であることが証明された。
そこで、細胞凝集体を超薄切片法で電子顕微鏡観察してみた。 そうすると、右図aにあるように、細胞間にいわゆるタイトジャンクションのキッシングポイント(細胞膜間の距離がゼロになる点)が多数形成されていた。 下段はクローディンを発現していない細胞である。 このように、クローディンは細胞膜間の距離をゼロにまで近づける接着分子であることが証明された。