ERM proteins bind to a specific group of integral membrane proteins containing a positively-charged amino acid cluster in their juxta-membrane cytoplasmic domain

Yonemura,S., Hirao,M., Doi,Y., Tsukita,Sa., and Tsukita,Sh.

J.Cell Biol. 140:885-895 (1998)


【筆頭著者紹介】

米村重信博士は、現在、教室の講師。 東大の理学系大学院のころから臨床研の月田グループで一緒に研究をはじめ、アメリカ留学を経て、生理研、京大へと行動を共にしてきました。 もともと細胞質分裂の機構をはじめとする細胞運動に興味があり、その延長線上にこの仕事があります。 ジョギングが趣味で、フルマラソンを走るのが夢というナイスガイ(ぼちぼちナイスミドル?)ですが、走っていると見知らぬ子供が「ハロー」と声をかけてくる容姿とスタイルを誇っています。 2児の父。


これまで、月田早智子らはERM蛋白質はCD44に結合することにより細胞膜に結合すること、この結合がRhoによって制御されていることを示してきました。 その後、ERM蛋白質に結合する膜蛋白質がCD44以外にもあるのではないかという傍証が次々と見つかってきました。 この論文は、CD44以外のERM結合膜蛋白質の候補であるCD43とICAMIIに絞って、これらの膜蛋白質とERMの結合様式を詳細に調べたものです。 左図に示すように、これらの膜蛋白質の細胞質ドメイン(およびそのいろいろな欠質ミュータント)とE−カドヘリンの細胞外ドメインをつないだキメラ蛋白質をL細胞に発現させ、これらキメラとERMが同じ分布を示すかを調べました。 また同時に、同じ細胞質ドメインとGSTの融合蛋白質をつくり、試験管内でERMと結合できるかも調べ ました。 その結果が、下図に示されています。

 結論として、この3種の膜蛋白質は、いずれも細胞膜直下の正電荷のアミノ酸クラスターを介して、ERMに直接結合することが分かりました。 ERM蛋白質の機能を考える上で、基本的に大切なデータであると思われます。