Saitou,M. et al. Mol.Biol.Cell 11,4131-4142 (2000)
【筆頭著者紹介】斉藤くん、再びの登場です。 斉藤くんは、すでに大学院を終了し、現在イギリスで研修中です。 大学院時代の一つ目の仕事は、オクルディンの細胞レベルでのノックアウトで、その成果はすで にJCBに掲載されています。 この仕事は、その後生まれてきたオクルディンノックアウトマウ スの詳細な解析結果を報告したものです。 題にあるように、そのフェノタイプは複雑で、さすが の斉藤くんも悪戦苦闘していました。 それでも、生物の複雑さ、不思議さを体験できて満足だっ たようです。 このような記載は、将来のタイトジャンクション研究にとって重要なものと考えま す。
オクルディン遺伝子をノックアウトしたES細胞から、オクルディンを欠失 したマウスが生まれた。 このマウスは生まれた時は一見正常であったが、 左図のように成長遅滞が見られた。また、雄は性行動に異常が見られ、子孫を 残せず、また、雌は、子供を生んだ後、育てることが出来なかった。
体中の組織をパラフィン切片を作成して、徹底的に調べた。 その結果、極めて 多彩な異常が見いだされた。 代表的なものは、左図のような、慢性の胃炎とその 後の胃粘膜の過形成、下図のような脳内への燐酸カルシュウムの沈着、唾液線の分 化異常、精巣の早期萎縮等などである。 これらの異常が、タイトジャンクションとどうのような関係にあるのか、言い換え れば、オクルディンの真の機能は何なのか? この疑問に今は答えることができな かった。
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