Saitou,M., Fujimoto,K., Doi,Y.,Itoh,M., Fujimoto,T., Furuse,M., Takano,H.,
Noda,T. and Tsukita,Sh.
J.Cell Biol. 141:397-408 (1998)
【筆頭著者紹介】斉藤通紀君は、京大医学部を卒業し、すぐに大学院に入り、現在博士課程4年。 学生時代から薬理学教室の垣塚彰博士の指導を受けて、ネーチャー、JBCに 論文を発表するなど華々しく活躍をする。 大学院に入ってから哺乳類オクル ディンの同定に大きく貢献した後、オクルディンのノックアウトを癌研の野田 哲生博士の指導のもと一年もかからずに成功させた。 5月16日に京都の 呉服問屋のお嬢様と結婚し、公私ともに充実している。 浜田省吾の熱狂的フ ァン。 指導教官である月田承一郎と同じ灘中、高の卒業で、同じくらい騒々 しいのがのがタマにキズか?!
タイトジャンクションに存在する内在性膜蛋白質が本当に オクルディンだけか? この疑問に答えるもっとも単純な 方法は、オクルディン遺伝子をノックアウトすることです。 我々は、世界に先駆けて、マウスオクルディンの遺伝子 に成功したので、その時から、オクルディン遺伝子のノッ クアウトを野田博士と共同で始めました。 左図にあるよ うに、通常の方法でターゲッティングベクターを作製し、 ES細胞でオクルディンの片方のアリルを破壊しました。 そこで、ネオの濃度を上げるという方法で、両方のアリル のオクルディン遺伝子を壊したES細胞を得ることに成功 しました。
このES細胞を左図にあるように、旋回培養によりエンブリオボ ディーを作製することにより、それを取り囲む上皮細胞に分化さ せました。
その上皮細胞を凍結切片にして、それぞれの抗体で染め てみると、左図にあるように、ZO−1の分布は影響を 受けないのに、オクルディンだけが消えているという不 思議な結果を得ました。 そこで、この上皮を凍結割断 レプリカ法で観察してみると、驚いたことに、きわめて よく発達したタイトジャンクションのネットワークが観 察できました。 これらの事実は、オクルディン以外に タイトジャンクションを形成する膜蛋白質が存在するこ とを示していました。 この仕事が次のクローディンの 発見への導火線となりました。