Claudin-1 and -2: Novel integral membrane proteins localizing at tight junctions with no sequence similarity to occludin

Furuse,M., Fujita,K., Hiiragi,T., Fujimoto,K., and Tsukita,Sh.

J.Cell Biol.  141, 1539-1550 (1998)

A single gene product, claudin-1 or -2, reconstitutes tight junction strands and recruits occludin in fibroblasts

Furuse,M., Sasaki,H., Fujimoto,K., and Tsukita,Sh.   

J.Cell Biol.  143,391-401 (1998)


        【筆頭著者紹介】            古瀬幹夫博士は、現在教室の助手。 京大生物物理の修士課程を経て、シオノギ の研究所に就職するが、思うところあり退職して月田グループが生理研にいる時 に博士課程に入る。 緻密で論理的な実験には周囲が舌をまくが、妻と生まれた ばかりの長男を京都に残して、単身岡崎で頑張るという背水の陣が、オクルディ ンの発見につながる。 さらに、昨年、長女が生まれ、本論文のクローディンを 発見する。 どうも、子供が生まれると大きな発見をするらしい。 「しばらく たったらまた子供を生まなくちゃ」と、奥さんが言っているとかいないとか。        
         斉藤らによるオクルディンのノックアウトの結果、タイトジャンクション がオクルディンなしでも形成されることが示されました (研究室ニュー スの項参照)。 そこで、我々の研究室の根本である単離ジャンクション 分画から、未知のタイトジャンクション膜蛋白質を捜そうとしました。  この分画をソニケーションと蔗糖密度遠心法でさらに分画し、その時に オクルディンと挙動をともにする膜蛋白質を追求した結果、分子量22kD のやはり4回膜貫通蛋白質(左図)を同定することができました。 2種類 のアイソタイプ(38% identical)が同定でき、それぞれクローディン( Claludin)ー1およびー2と名付けました。              これらのクローディンにFLAGタグをつけ、培養上皮細胞に導入 したところ、どちらも左図のコンフォーカル顕微鏡像で明らかなよ うに、タイトジャンクションにオクルディンとともに濃縮しました。 このことは、電子顕微鏡でも確認されました。 クローディンには、 さらに似た仲間がいるらしいこともあり、タイトジャンクション の分野は新しい局面を迎えたと言えそうです。             そこで、次の論文では、クローディンー1またはー2のcDNAを、マウスL 線維芽細胞に導入してみました。 ステーブルトランスフェクタントをとって 調べたところ、驚いたことに、その細胞間に左図に示したような巨大なタイト ジャンクションストランドのネットワークが形成されていることが分かりまし た。 一方、オクルディンのみをL細胞に導入したところ、きわめて短いスト ランドは形成されるものの、クローディンのような巨大なタイトジャンクショ ンを作ることはありませんでした。 そこで、L細胞にクローディンー1とオ クルディンを共発現させてみました。 すると、クローディンとオクルディン は共重合し、大きなネットワークを作ることが分かりました。                最後の図は、このようなL細胞から凍結割断レプリカを とり、クローディン(5nm)とオクルディン(15nm) で2重ラベルしたものです。 生体の中でも、数種類の クローディンと一種類のオクルディンが共重合してスト ランドを作っていると考えられます。