Conversion of Zonula Occludentes from tight to leaky strand type by introducing claudin-2 into MDCK I cells.

Furuse,M. et al.    J.Cell Biol. 153, 263-272 (2001)


【筆頭著者紹介】  またまた、古瀬さんの登場です。 古瀬さん、現在、下のお嬢さんが恋人です。  この五月から助教授に昇進し、教室の要として、これからますますの発展を期待してます。 すでに、海外からも直接招待されるようになりつつあります。 この仕事は、古瀬さん らしい、一ひねりした、玄人受けする作品です。 また、この論文の第二著者は奥様で、 初めての夫婦共作となりました。
我々がよく使う培養上皮細胞に、牛の腎臓から確立されたMDCK細胞 があります。この細胞は、二つのサブクローンに分けられており、それ ぞれI型、 II型と呼ばれてきました。 左図にあるように、I型は 非常に高いTER、II型はその10分の1から100分の1のTER を示します。 すなわち、I型のタイトジャンクション(TJ)は、 II型のそれに比べると極めてタイトな訳です。 約10年前に、スティ ーブンソンという人がこれに着目し、詳しい形態学的解析をしたところ、 TJストランドの数や様子は両者で全く差がなく、要するに一本一本の TJストランドの透過性の違いがこの2つのサブクローン間であることが 示されました。 そこで、これらのクローディンを調べてみました(左図)。  おもしろいことにI型は主にクローディンー1とー4,II型はそれに クローディンー2が発現していることが分かりました。 そこで、I型に クローディンー2を強制発現するとどうなるでしょうか? 左図を見て下さい。 I型にクローディンー2を強制発現すると、何と TERが下がり、II型のようになってしまいました。 凍結割断レプ リカ法で見てみると、aがI型、bがI型にクローディンー2を発現さ せたもの、cがII型ですが、いずれも差がありません。 すなわち、 クローディンー1とー4から出来ているI型のTJストランドはとても タイトで、それにクローディンー2が混ざると、突然漏れやすくなると いうことです。 このことから、II型のストランドの中では、下図Aのように、クロー ディンー2同士がparacellular channelを作っている可能性、または、 Bのようにクローディンー2とー1、またはー4がparacellular channel を作っている可能性、の2つが考えられます。 種々の状況証拠は後者 を支持します。 いずれにせよ、以上の結果により、クローディンの種類と量比がそれぞれのTJ ストランドのタイトさを決定するという我々の説が実験的に証明されました。  このあたりの詳細な議論は、我々の総説をご覧下さい。